令和4年度技術士第一次試験:I 基礎科目:I-3-1

令和4年度技術士試験問題
目次

問題

(出典:日本技術士会のホームページ 過去問題(第一次試験) 基礎科目 令和4年度

コーチング対話解答

ツトムさん

数値解析の問題もよく問われますが、これは微分を差分法により表す問題ですね。

マナブ先生

コンピュータで微分方程式を計算する場合には、
計算対象を格子状に分割して、
各節点の離散的なデータを使って計算を進めていきますが、
その時に使われるのが有限差分法や有限要素法で、
今回は有限差分法についてですね。
ツトムさん、関数の1階微分は何を表しますか?

ツトムさん

その地点での関数の傾きです。
関数を\(f(x)\)とすると、
\[
\frac{df(x)}{dx}
\]
は、\(x\)が微小変化した時の\(f(x)\)の変化率を表します。

マナブ先生

そうですね。
従って、1階微分の基本的な形は
\[
\frac{\text{関数の値の差}}{\text{幅}}
\]
になります。

技術士コーチング
ツトムさん

④だけ分母が格子幅の二乗になっていますので、これが誤っていますね。

マナブ先生

そうですね。
知っていれば瞬時に解くことができる問題ですが、一つ一つ見ていきましょう。
選択肢の中で簡単なものから手を付けましょう。
➀はどのような近似ですか?

ツトムさん

\(x_i\)とその一つ先の点\(x_{i+1}\)を使っています。
したがって、前進差分です。

マナブ先生

そうですね。
次は似たような形の⑤を見てみましょう。
これはどのような近似ですか?

ツトムさん

\(x_i\)とその一つ手前の点\(x_{i-1}\)を使っていますので、
後退差分です。

マナブ先生

そうです。
次は③はどうですか?

ツトムさん

これは、点\(x_i\)の前後の点を対称に使っています。
したがって、中心差分です。

マナブ先生

正しいです。
中心差分は前進差分や後退差分より精度が高いんですよね。
次は②を見てみましょうか。

ツトムさん

これは点\(x_i\)と後ろ側の2点\(x_{i-1}\)と\(x_{i-2}\)を使っていますね。
分母が\(2Δ\)なので1階微分だと思います。

マナブ先生

これについて少し考えてみましょう。
まず、まずテイラー展開を使って、\(f_{i-1}\)を\(f_i\)で展開してみてください。

ツトムさん

格子幅を\(Δ\)として、次のようになりますね。
\[
f_{i-1}=f_{i}-\Delta f_i’ + \frac{\Delta^2}{2}f_i” – \frac{\Delta^3}{6}f_i”’ + \cdots
\]

マナブ先生

それでは、格子幅を\(2Δ\)として、\(f_{i-2}\)を\(f_i\)で展開してみてください。

ツトムさん

\[
f_{i-2}=f_{i}- 2\Delta f_i’ + \frac{2\Delta^2}{2}f_i” – \frac{2\Delta^3}{6}f_i”’ + \cdots
\]
このようになります。

マナブ先生

この二つの式の右辺3項目を消去してください。

ツトムさん

右辺4項目以降は誤差と見なすのですね。
\(f_{i-1}\)の式を4倍して、\(f_{i-2}\)の式を引きます。誤差は\(O\)で示しました。
\[
4 f_{i-1} – f_{i-2} = 3 f_{i} – 2 \Delta f_{i}’ + O(\Delta^3)
\]
となりますので、これを整理すると、
\[
f_{i}’ = \frac{3 f_i – 4 f_{i-1} + f_{i-2}}{2 \Delta}
\]
となり、②の式が得られました。

マナブ先生

良くできました。
⑤の後退差分より、使う点が多い分、精度が高くなります。
③の中心差分も、表には出ていませんが、\(x_i\)も使っているため、精度が高くなっています。
それでは④についてはどうでしょうか?

ツトムさん

格子点x_iの前後の値をテイラー展開します。
\[
f_{i+1}=f_{i}+\Delta f_i’ + \frac{\Delta^2}{2}f_i” + \frac{\Delta^3}{6}f_i”’ + \cdots
\]
\[
f_{i-1}=f_{i}-\Delta f_i’ + \frac{\Delta^2}{2}f_i” – \frac{\Delta^3}{6}f_i”’ + \cdots
\]
この2式を足して、\(2f_i\)を引くと、
\[
f_{i+1}-2 f_{i} + f_{i-1} = \Delta^2 f_{i}” + O(\Delta^{4})
\]
これから、
\[
f_{i}” = \frac{f_{i+1}-2 f_{i} + f_{i-1}}{\Delta^{2}}
\]
となります。
よって④は2階微分であることが分かります。
答えは④ ですね。

マナブ先生

正解です。
1階微分の差分形式を一覧にまとめると以下のようになります。

差分方式使用する点差分形式
前進差分\(x_i、x_{i+1}\)\[
\frac{f_{i+1} – f_{i}}{\Delta}
\]
後退差分\(x_{i-1}、x_i\)\[
\frac{f_{i} – f_{i-1}}{\Delta}
\]
中心差分\(x_{i-1}、(x_i )、x_{i+1}\)\[
\frac{f_{i+1} – f_{i-1}}{2 \Delta}
\]
(2次精度)後退差分\(x_{i-2}、x_{i-1}、x_i\)\[
\frac{3 f_i – 4 f_{i-1} + f_{i-2}}{2 \Delta}
\]
ツトムさん

これは覚えておいた方がいいでしょうね。

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