問題

(出典:日本技術士会のホームページ 過去問題(第一次試験) 基礎科目 令和4年度)
コーチング対話解答
ツトムさん今回は3次元ベクトルの内積と外積の基本性質を確認する問題ですね。



注意する点はどこだと思いますか?



内積は結果がスカラーとなり、
外積は結果がベクトルです。
また、
内積は交換法則が成り立ちますが、
外積は交換した時に符号が変わるという点ですね。



良く理解できていますね。
そこまで理解できていればすぐに解答できますね。





そうですね。
②が外積なのに交換法則が成り立っているような式になっていますので、これが成立しません。



その通りです。
選択肢の内容を見る前に、内積と外積の特徴についておさらいしてみましょうか。
まず、内積はどのような式ですか?



下図のようなベクトル\(\vec{a}\)、\(\vec{b}\)を考えると、
\[
\vec{a}\cdot\vec{b} = |a|\,|b|\cos\theta
\]
となります。





これはどのような意味ですか?



\(|\vec{a}|\cos\theta\)というのは、\(\vec{a}\)から\(\vec{b}\)に垂直に下ろした大きさ\(|h|\)となります。
その\(|h|\)と\(\vec{b}\)の大きさ\(|b|\)の掛け算になります。



それからどのようなことが分かりますか?



ええっと…



今の図で\(\vec{b}\)を\(\vec{b}\)方向の単位ベクトルだとするとどうなりますか?



\(\vec{a}\)の\(\vec{b}\)方向成分になるのですね。
つまり、\(\vec{a}\)の\(\vec{b}\)方向の成分を取り出すことができるということですね。





そうです。
また、cosを使っているというところが重要ですね。
これにより、\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)の関係が分かります。



そうですね。
\(\theta\)が0に近いほど、つまり\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)が同じ方向を向いていればいるほど、値が大きくなりますが、直角になると0になり、逆方向を向いているとマイナスになりますからね。



その通りです。
数学の問題だけでなく、ある二つの事象の特性をベクトルに置き換えて、それらの内積を取ることで二つの事象の「特性の近さ」を数値に置き換えることができます。



内積にはそのような使い方もあるのですね。



それでは外積について説明してもらえますか。



\(\vec{a} \times \vec{b}\)の場合は、\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)の両方に垂直で、\(\vec{a}\)から\(\vec{b}\)方向に右ねじを回して進む方向、下の図では上の方向で、大きさが\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)で作られる平行四辺形の面積\(S\)となるようなベクトルです。





面積\(S\)は式で書くと
\[
|\vec{a} \times \vec{b}| = |a|\,|b|\sin\theta
\]
となります。



そうですね。
外積は方向を持っているベクトルだということですね。
ですから、\(\vec{b} \times \vec{a}\)のように\(\vec{b}\)を先に書くと、\(\vec{b}\)から\(\vec{a}\)に向かって右ねじを回した時にねじが進む方向、つまり先ほどの絵では下方向のベクトルになるのですね。
よって交換則は成り立たず、符号が逆になります。
\[
\vec{a} \times \vec{b} = – \vec{b} \times \vec{a}
\]
外積の物理的な応用としてはどのようなものがありますか?



\(\vec{a}\)と\(\vec{b}\)が作る平面の法線ベクトルを求める時に使えますね。



そうですね。
それでは選択肢を見ていきましょう。
まず➀はどうでしょうか?



➀は
\[
(a \times b) \cdot a = 0
\]
ですね。\(\vec{a} \times \vec{b}\)は外積なので\(\vec{a}\)に垂直なベクトルですから、それと\(\vec{a}\)との内積は0になりますので正しいです。



その通りです。
次の②は誤っていて、向きが逆になりますね。
③はどうですか。



内積は交換法則が成り立ちますので、合っています。



そうですね。
それでは④は?



➀と同じで、\(\vec{a} \times \vec{b}\)は外積なので\(\vec{b}\)に垂直なベクトルですから、それと\(\vec{b}\)との内積は0になります。
よって、正しいです。



そうです。
最後の⑤は?



\[
|\vec{a} \times \vec{a}| = |a|\,|a|\sin0 = 0
\]
となり正しいです。



外積の大きさは二つのベクトルが作る面積ですので、同じ方向のベクトルの場合は、面積が0になるので、外積も0ですね。

