問題

(出典:日本技術士会のホームページ 過去問題(第一次試験) 基礎科目 令和5年度)
コーチング対話解答
ツトムさん\(x\)と\(y\)の重積分ですから、
\(x\)を固定して\(y\)で積分してから、\(x\)で積分する
累次積分が使えそうですね。



そうですね。
まず、領域\(R\)はどんな形ですか?



\[
y=\sqrt{1-x^2}
\]
ですから、これは
\[
x^2+y^2=1
\]
の円の、第1象限にある4分の1の部分ですね。



その通りです。
そうすると、領域をそのまま書いた積分の式はどうなりますか?





\[
\int_{0}^{1}\int_{0}^{\sqrt{1-x^2}} x\,dy\,dx
\]
になります。
これを\(x\)を固定して内側の積分を解いていきます。
\[
\int_{0}^{\sqrt{1-x^2}} x\,dy
=
x\sqrt{1-x^2}
\]
となります。



いいですね。
それでは次の積分はどうですか。



\[
\int_{0}^{1} x\sqrt{1-x^2}\,dx
\]
の計算ですね。
これは置換を使います。
\[u=1-x^2\]
と置きます。すると、
\[du=-2x\,dx\]
となりますので、
\[
x\,dx=-\frac{1}{2}\,du
\]
とします。
次に、\(u\)の範囲を求めます。
\(x=0\)の時、\(u=1\)
\(x=1\)の時、\(u=0)
となりますので、積分は以下のようになります。
\[
\int_{0}^{1} x\sqrt{1-x^2}\,dx
=
-\frac{1}{2}\int_{1}^{0}\sqrt{u}\,du
=
\frac{1}{2}\int_{0}^{1}\sqrt{u}\,du
\]
\[
=
\frac{1}{2}\int_{0}^{1}u^{1/2}\,du
=
\frac{1}{2}\cdot\frac{2}{3}
=
\frac{1}{3}
\]
よって、答えは②の1/3ですね。





良くできました。
領域が円になっているということから、
他の解法もあると思いますが、何だと思いますか?



極座標ですね。
\[
x=r\cos\theta
\]
\[
y=r\sin\theta
\]
と置くと、領域\(R\)は第1象限の半径1の四分円なので
\[
0≦r≦1
\]
\[
0≦θ≦π/2
\]
の範囲になります。
面積要素は、
\[
dx\,dy=r\,dr\,dθ
\]
となります。



面積要素がこのようになる理由はわかりますか?



公式として覚えているだけですね。



厳密にはヤコビアンを使って証明が必要ですが、
簡単に説明してみましょう。
直交座標では\(dx\,dy\)は何を表していますか?



横が\(dx\)、縦が\(dy\)の小さな長方形です。
その微小領域の面積が\(dx×dy\)です。



その通りです。
では極座標ではどうなるか考えましょう。
まず、半径方向へ\(dr\)動くと、長さはいくら変化したことになりますか?



そのままの\(dr\)です。



次は、角度方向ですが、\(dθ\)回転すると、円弧の長さはどうなりますか?



\(r\,dθ\)になります。
ここに\(r\)が出てくるのですね。



その通りです。
つまり極座標では、微小面積は
半径方向に\(dr\)、円周方向に\(r\,dθ\)の扇形になりますので、面積は
\(dr×r\,dθ=r\,dr\,dθ\)
になります。



半径1mのところで1°回転するのと、
半径10mのところで1°回転するのでは、
大きさが違いますから、\(r\)がかかっていると理解すればいいのですね。



そうです。
それでは問題に戻りましょう。



求める積分は
\[
\iint_{R} x\,dx\,dy
\]
ですので、\(x=r\cos\theta\)を代入して、計算を進めると、
\[
\iint_{R} x\,dx\,dy
=
\int_{0}^{\pi/2}\int_{0}^{1}(r\cos\theta)\,r\,dr\,d\theta
\]
\[
=
\int_{0}^{\pi/2}\int_{0}^{1}r^{2}\cos\theta\,dr\,d\theta
\]
となり、まず、\(r\)について積分してから、\(\theta\)について積分をします。
\[
\int_{0}^{\pi/2}\int_{0}^{1}r^{2}\,dr\,\cos\theta\,d\theta
=
\int_{0}^{\pi/2}\frac{1}{3}\cos\theta\,d\theta
\]
\[
=
\frac{1}{3}\int_{0}^{\pi/2}\cos\theta\,d\theta
=
\frac{1}{3}\cdot1
=
\frac{1}{3}
\]
よって、先ほどと同じ③の1/3になります。



良くできました。
重積分については良く問題に出されますので、
ヤコビアンなども復習しておいてください。



はい、わかりました。


