問題

(出典:日本技術士会のホームページ 過去問題(第一次試験) 基礎科目 令和4年度)
コーチング対話解答
ツトムさんこの問題は、水素についての基礎知識について問うものですね。



そうですね。
この問題の背景には、二つの社会的・技術的なテーマがありますね。



一つは、水素エネルギーの利用ですね。
水素は燃焼させても、水しか生成されないので、
クリーンなエネルギーとして
脱炭素社会を担うものとして期待されていますからね。
もう一つは何ですか?



二つ目は、水素還元製鉄です。
従来の高炉製鉄では、コークス中の炭素や一酸化炭素を用いて酸化鉄を還元するため、二酸化炭素が発生しますが、水素を還元剤として用いると、基本的には水しか生成されませんからね。



ただ、水素を工業的に利用するには技術的なハードルがありますから、それらをこれから解決していかないといけないのですね。





そうですね。
そのためにも、ごく基本的なこととして水素の性質に関する問題が、この設問ですね。
それでは解いていきましょう。
(ア)は、「常温では気体で、1気圧の下で(ア)℃まで冷やすと液体になる」という問題ですが、この温度のことを何と言いますか?



気体から液体になる温度なので、
その逆を考えると液体から気体になる温度と同じですから
「沸点」ですね。



そうですね。
そして、選択肢には-162と-253がありますが、
これらはどのような物質の沸点かわかりますか?



わかりませんね。



-162℃というのは、メタンやメタンを主原料とする液化天然ガスの沸点に近いですね。
そして、-253℃が水素の沸点ですね。
これらは覚えておいた方がいいでしょう。



(イ)は液体水素と常温の水素ガスの体積比の問題で、1/600と1/800の選択肢がありますが、
これも水素と天然ガスの場合の数字なのですか?



そうです。
これらも覚えておきましょう。
気体の水素を液化すると、同じ質量では体積はおよそ1/800になります。
一方、天然ガスを液化すると、体積はおよそ1/600になります。
水素と天然ガスのこれらの数値を表にしておきましょう。
| 物質 | 液化温度(沸点) | 液化すると体積は |
| 水素 | -253℃ | 約1/800 |
| 天然ガス(LNG) | -162℃ | 約1/600 |



次に(ウ)はどうでしょうか?



水素は非常に軽いので、常温の気体では体積当たりのエネルギー密度は小さいです。
一方、質量当たりでは非常に大きくなります。
したがって、(ウ)は質量になります。





その通りです。
水素の低位発熱量は質量当たりでおよそ、
120 MJ/kg
程度あり、
ガソリンはおよそ、
44 MJ/kg
なので、水素の方がガソリンよりも大きくなります。
次の(エ)はどうでしょうか?



水素と酸素が反応する場合は次のようになりますよね。
2H2 + O2 → 2H2O + 熱
これは先ほどの(ウ)の問題で、(エ)は水素と鉄鉱石の反応ですね。
これは水素による鉄鉱石の還元反応ですね。



この時の反応は、代表的な酸化鉄をFe2O3とすると、水素還元は大体、次のようになります。
Fe2O3+ 3H2 → 2Fe + 3H2O
この反応を進めるには、高温域では熱を外部から与える必要があります。



すると、これは吸熱反応なのですね。
(エ)は吸熱ですね。



そうですね。
水素還元はCO2発生量の削減が可能ですが、そのためには高温の熱供給や大量の水素製造など課題もあります。



覚えておきます。

