令和4年度技術士第一次試験:I 基礎科目:I-5-4

令和4年度技術士試験問題
目次

問題

(出典:日本技術士会のホームページ 過去問題(第一次試験) 基礎科目 令和4年度)

コーチング対話解答

ツトムさん

この問題は、水素についての基礎知識について問うものですね。

マナブ先生

そうですね。
この問題の背景には、二つの社会的・技術的なテーマがありますね。

ツトムさん

一つは、水素エネルギーの利用ですね。
水素は燃焼させても、水しか生成されないので、
クリーンなエネルギーとして
脱炭素社会を担うものとして期待されていますからね。
もう一つは何ですか?

マナブ先生

二つ目は、水素還元製鉄です。
従来の高炉製鉄では、コークス中の炭素や一酸化炭素を用いて酸化鉄を還元するため、二酸化炭素が発生しますが、水素を還元剤として用いると、基本的には水しか生成されませんからね。

ツトムさん

ただ、水素を工業的に利用するには技術的なハードルがありますから、それらをこれから解決していかないといけないのですね。

Technology-Coaching-refresh
マナブ先生

そうですね。
そのためにも、ごく基本的なこととして水素の性質に関する問題が、この設問ですね。
それでは解いていきましょう。
(ア)は、「常温では気体で、1気圧の下で(ア)℃まで冷やすと液体になる」という問題ですが、この温度のことを何と言いますか?

ツトムさん

気体から液体になる温度なので、
その逆を考えると液体から気体になる温度と同じですから
「沸点」ですね。

マナブ先生

そうですね。
そして、選択肢には-162と-253がありますが、
これらはどのような物質の沸点かわかりますか?

ツトムさん

わかりませんね。

マナブ先生

-162℃というのは、メタンやメタンを主原料とする液化天然ガスの沸点に近いですね。
そして、-253℃が水素の沸点ですね。
これらは覚えておいた方がいいでしょう。

ツトムさん

(イ)は液体水素と常温の水素ガスの体積比の問題で、1/600と1/800の選択肢がありますが、
これも水素と天然ガスの場合の数字なのですか?

マナブ先生

そうです。
これらも覚えておきましょう。
気体の水素を液化すると、同じ質量では体積はおよそ1/800になります。
一方、天然ガスを液化すると、体積はおよそ1/600になります。
水素と天然ガスのこれらの数値を表にしておきましょう。

物質液化温度(沸点)液化すると体積は
水素-253℃約1/800
天然ガス(LNG)-162℃約1/600
マナブ先生

次に(ウ)はどうでしょうか?

ツトムさん

水素は非常に軽いので、常温の気体では体積当たりのエネルギー密度は小さいです。
一方、質量当たりでは非常に大きくなります。
したがって、(ウ)は質量になります。

Technology Coaching refresh
マナブ先生

その通りです。
水素の低位発熱量は質量当たりでおよそ、
  120 MJ/kg
程度あり、
ガソリンはおよそ、
  44 MJ/kg
なので、水素の方がガソリンよりも大きくなります。
次の(エ)はどうでしょうか?

ツトムさん

水素と酸素が反応する場合は次のようになりますよね。
  2H2 + O2 → 2H2O + 熱
これは先ほどの(ウ)の問題で、(エ)は水素と鉄鉱石の反応ですね。
これは水素による鉄鉱石の還元反応ですね。

マナブ先生

この時の反応は、代表的な酸化鉄をFe2O3とすると、水素還元は大体、次のようになります。
  Fe2O3+ 3H2 → 2Fe + 3H2O
この反応を進めるには、高温域では熱を外部から与える必要があります。

ツトムさん

すると、これは吸熱反応なのですね。
(エ)は吸熱ですね。

マナブ先生

そうですね。
水素還元はCO2発生量の削減が可能ですが、そのためには高温の熱供給や大量の水素製造など課題もあります。

ツトムさん

覚えておきます。

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